子育てには直接には関係ない本ですが、親子の素敵なエピソードがいくつか書かれています。その中で、著者が自宅近くで見た光景について書いたものを紹介します。 夕暮れ時、6~7歳と思われる子どもがスパイダーマンのコスプレをして友達と楽しそうに遊んでいます。スパイダーマンが糸を発射する場面をまねしています。夕食の時間が近づいてきたとき、傍にいた母親が何と言って、子どもを誘導するのだろうかと著者は見ていました。 こういうとき、多くの親は「もう止めなさい。帰るわよ」とか、「お腹、空いてないの? もうご飯にしましょう」と、そんな言葉を口にするのではないか。そう著者は思いました。 すると、その母親は著者が想像したのとは全く違った言葉を使いました。 「スパイダーマン、むやみに糸を発射したら、けが人が出るかもしれないぞ。被害者を出さないように注意しろ。では、任務を終えたら無事に帰還せよ!」 そして、子どもは答えました。 「了解しました。ただちに帰還します。どうぞ」 子どもの目線に合わせるとは、こういうことではないか。自分が立っている場所から少し離れて、相手が直面している空間と時間の中に入っていき、少し違った視線で問題を見る。難しいことだが、試みることが必要。 どのような言葉を使い、どのように言葉を発すればいいのか。言葉遣いについての洞察が深く、子育ての上でも参考になる1冊だと思います。
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